「治験で大きな副作用が出たらどうしよう……」
「最悪、死亡することもあるんじゃ……?」
治験に参加しようと考えたとき、心配なのが自分の健康に害がないかということ。今回は過去の実例をもとに、治験の安全性についてお伝えします。
一般的な承認薬でさえ死亡事故が起きている
治験の話の前に、そもそも世の中に流通している一般のくすりでの副作用や死亡事故についてご紹介しましょう。1994年のアメリカの統計によると、全米で約30億の処方に対して約200万人が入院、10万人が死亡している、という驚きの報告がされています。
副作用・死亡が起こる理由に、くすりの性質や患者さんの体質や体調が挙げられます。他にも、特に自身でも気を付けたいのが「複数のくすりを服用すること」。例えば「先日、風邪をひいて内科に行った。今日は花粉症で耳鼻科に行った」等、複数の医療機関で複数のくすりを処方してもらうこともありますよね。
しかし、くすりの飲み合わせが悪いと相乗効果が働き悪い副作用が出るだけでなく、最悪死に至ることもあります。おくすり手帳の提出を求められたり、医師に現在服用しているくすりを聞かれたりするのはこれを防ぐためなんですね。
治験でも死亡事故はまれに起きている
治験で投与される薬はすでに動物実験やさまざまな実験を行っており、治験が安全性と有効性をたしかめる最終チェックになります。そのため治験で事故が起きるという例はごくわずかです。
ですが、一般の薬でも副作用や事故はあるわけですから、治験薬も同じように副作用で死亡事故が起こったこともあります。
抗がん薬「マツズマブ」(EMD72000)
2005年、肺がんを患っていた当時71歳の男性が臨床試験(治験)中の抗がん薬「マツズマブ」を投与された後に死亡しました。遺族は治験を行った近畿大学医学部付属病院と製薬会社の「メルクセローノ」に慰謝料4950万円の賠償を求める訴訟を行っています。
ただ抗がん剤はもともと強い副作用がつきものなのも事実。もちろん健康な人が参加する治験モニターとがん患者が未承認の抗がん剤を投与するのとではリスクも格段に違います。治験は自分で選んで参加できるので、リスクの少なそうなものを選んで応募するのがいちばんですね。
鎮痛剤の経口薬
2016年にもフランスで鎮痛剤の治験中に6人の参加者が病院に搬送された事故もありました。このうち1人が脳死、3人が脳に障害が残る可能性があるとのことです。
この治験は「フェーズ1」という治験の第一段階のもので、人間が薬を使用することの安全性を確認するための治験でした。しかし初期の段階で激しい有害事象が現れるのはまれだといいます。とはいえ治験に参加する場合は「フェーズ1」を避けた方が、参加する身としては安心ですよね。
副作用が出たら補償が受けられる
仮に入院や治療が必要になるほどの重い副作用が発生した場合、身体的な障害が生じた場合は「医薬品副作用被害救済制度」という救済が受けられます。
製薬協のホームページにも「治験で医薬品を適正に使用したにもかかわらず副作用による一定の健康被害が生じた場合に医療費等の給付を行う」と明記されています。
この補償内容や条件については事前に説明を受けるので、それを聞いてから参加を決めることができます。心配に思うのであれば、その場でお断りすることもできます。また疑問点があれば質問することもできるので納得して「大丈夫だ!」と思えるまで確認してみてください。
健康食品のモニターなら安心
「治験に死亡事故があったなんて、参加するのをやめておこう…」
そう考えてしまうのも、もっともです。しかし治験にはさまざまな種類があります。
例えば死亡事故が起こったのは、がん治療の未承認薬や「フェーズ1」の治験。元々リスクが低くはない案件のため、事前に説明がされているはずです。説明を受ける中で不安に思ったのであれば思い切ってやめてみましょう。健康な人を対象にした「フェーズ3」の治験であれば、よりリスクは減っています。
自己意志で受けられる治験。だからこそ安全な治験も、自分で選び取れるのです。
また、薬の治験ではなく健康食品・トクホのモニターなら副作用のことはほとんど心配いりません。